AI生成物の著作権登録が認められない法的理由を徹底解説。人間の創作性要件、著作権法の解釈、世界各国の対応状況、今後の法整備の動向まで、知っておくべき重要なポイントをわかりやすく説明します。AI時代の著作権問題を理解したい方必見の内容です。
AI生成物の著作権登録問題とは
画像生成AIの急速な普及により、誰でも簡単に高品質な画像を生成できる時代になりました。しかし、こうして生成された作品には重要な法的問題があります。それは、AI生成物に対する著作権登録が認められないということです。
この問題は、創作活動やビジネスにAIを活用する多くの人にとって深刻な懸念事項となっています。なぜAI生成物には著作権が認められないのでしょうか。その理由と背景について、法的観点から詳しく解説していきます。

著作権法における「創作性」の要件
人間による創作が前提条件
著作権法の根本的な考え方として、著作物は「人間の思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならないという原則があります。この定義における「人間の」という部分が、AI生成物の著作権問題の核心となっています。
現行の著作権法は、人間が創作主体であることを前提として構築されており、機械やAIによる自動生成物は想定されていませんでした。そのため、AIが主体となって生成された作品は、この基本要件を満たさないと判断されているのです。
創作的表現の判断基準
著作権が認められるためには、単なる情報の羅列ではなく、創作者の個性や独創性が表現されている必要があります。しかし、AI生成物の場合、その「創作性」が人間によるものなのか、AIのアルゴリズムによるものなのかを明確に区別することが困難です。
特に、プロンプト(指示文)を入力するだけで画像が生成される現在の画像生成AIでは、最終的な作品の詳細な表現内容はAIが決定しているため、人間の創作的寄与が限定的であると判断される傾向にあります。
世界各国の著作権庁の対応
米国著作権庁の見解
米国著作権庁は2022年に明確な指針を発表し、「人間の作者による作品」のみを著作権登録の対象とすることを明言しました。AIが生成した作品については、人間の創作的寄与が最小限である場合、著作権登録を認めないという立場を取っています。
ただし、AIを道具として使用し、人間が創作過程において十分な創作的判断を行った場合については、その部分に限って著作権が認められる可能性があるとしています。
欧州の動向
欧州連合(EU)においても、同様の見解が示されています。欧州著作権法では、著作物の創作者は自然人(人間)でなければならないという原則が維持されており、AI生成物の著作権登録は困難な状況です。
ただし、各国によって解釈に若干の差異があり、今後の法整備により統一的な基準が策定される可能性があります。
日本の状況
日本の著作権法においても、現時点ではAI生成物の著作権は認められていません。文化庁は、AIを利用した創作活動について検討を続けていますが、基本的には人間による創作性が必要であるという立場を維持しています。

AI生成物に著作権が認められない具体的理由
1. 法的主体性の欠如
著作権法において、権利の主体となるのは自然人(人間)または法人です。AIは法的な人格を持たないため、そもそも権利を所有する主体として認められません。これは、AI生成物の著作権問題における最も根本的な障害です。
2. 創作意図の不明確性
人間の創作活動には必ず何らかの意図や目的が存在します。しかし、AIによる生成過程では、明確な創作意図を特定することができません。AIは学習データに基づく統計的処理により出力を生成しているため、「表現したいもの」という創作者の意思が存在しないのです。
3. 独創性の判断困難
著作権保護の要件である「独創性」について、AI生成物では判断が困難です。AIの出力は既存の学習データの組み合わせや変換に基づいているため、真の意味での「独創性」があるかどうかを客観的に評価することができません。
4. 権利帰属の複雑性
AI生成物について著作権を認める場合、その権利が誰に帰属するかという問題が生じます。AIの開発者、学習データの提供者、AIを使用した人物など、複数の関係者が存在し、権利関係が複雑になってしまいます。
著作権登録拒絶の実例
Zarya of the Dawn事件
2023年、米国著作権庁は、Midjourney(画像生成AI)を使用して制作されたコミック「Zarya of the Dawn」について、AI生成部分の著作権登録を取り消すという決定を下しました。この事例は、AI生成物の著作権問題を象徴する重要な判例となっています。
その他の拒絶事例
世界各国で、AI生成による絵画、音楽、文章などの著作権登録申請が相次いで拒絶されています。これらの事例は一貫して、「人間による創作性の欠如」を理由として挙げています。

部分的な著作権保護の可能性
人間の創作的寄与がある場合
完全にAIによる自動生成ではなく、人間が創作過程において実質的な判断や修正を行った場合、その部分については著作権が認められる可能性があります。具体的には以下のような場合が考えられます:
– 詳細で具体的なプロンプトの作成
– AI生成結果の大幅な修正や加工
– 複数のAI生成物の組み合わせや編集
– AI生成物をベースとした手作業による仕上げ
編集著作物としての保護
個々のAI生成物には著作権が認められなくても、それらを組み合わせて構成された全体的な作品については、編集著作物として保護される可能性があります。これは、素材の選択や配列に創作性が認められる場合に適用されます。
今後の法整備の方向性
新しい権利概念の検討
従来の著作権とは異なる、AI生成物に特化した新たな権利制度の創設が各国で検討されています。これには、期間の短い保護期間や、限定的な権利内容などが含まれる可能性があります。
国際的な協調の必要性
AI生成物の著作権問題は国境を越えた課題であり、国際的な基準統一が重要です。世界知的所有権機関(WIPO)などの国際機関を通じた協議が進められています。

AI利用者が注意すべき点
商用利用時のリスク
AI生成物を商用利用する場合、著作権保護が受けられないリスクを十分に理解する必要があります。同じまたは類似の作品が他者によって生成される可能性があり、独占的な利用権を主張できない場合があります。
学習データの著作権問題
AI生成物自体に著作権がなくても、AIの学習に使用されたデータに著作権侵害の問題がある場合、生成物の使用により間接的に法的問題に巻き込まれる可能性があります。
適切な表示とクレジット
AI生成物を使用する際は、それがAIによって生成されたものであることを適切に表示することが推奨されます。これにより、透明性を保ち、将来的な法的トラブルを避けることができます。
まとめ
AI生成物に著作権登録ができない理由は、現行の著作権法が人間による創作を前提としているという根本的な構造にあります。AIには法的主体性がなく、創作意図や独創性の判断が困難であるため、従来の著作権概念では保護できないのが現状です。
しかし、この状況は技術の発展と法整備により変化する可能性があります。AI技術を活用する際は、現在の法的制約を理解した上で、適切な対応策を講じることが重要です。
今後もAI生成物の著作権問題は重要な課題として議論が続けられるでしょう。最新の動向を把握し、適切な対応を心がけることが、AI時代における創作活動やビジネスの成功につながります。
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